相愛高等学校 相愛中学校 オフィシャルブログ
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2010年12月27日

平成22年12月24日 ~二学期の保護者宛報告文書を載せました。~

平成22年12月24日
保護者の皆様へ

相愛高等学校 中学校
校 長  牧本 英男


2学期を終えて(ご報告)

 穏やかな師走を迎えました。皆様にはこの一年間本校の教育活動にご理解とご支援を頂戴しました。有り難く御礼申し上げます。2学期を終了するに当たり、ご報告を申し上げます。
1学期の終業式を終えた後、高校の特進コースは8月7日まで授業を継続しました。また中学校は学力確保のための補習を7月26日まで実施しました。
 その間に高校特進コース1、2年生は7月31日から「学習合宿」を実施しました。奈良の桜井市の校外にある談山神社前の多武峰観光ホテルが会場です。日本文化の源とも言える清々しい自然に囲まれて2泊3日を過ごしました。テーマは学習方法の向上であり、50分授業2回の後に自習の時間を設けて、その後復習テスト+再解説を一サイクルとしました。一つ一つの学習内容をどのようにして自分のものとするかの工夫を目指しました。
 夏は部活動の期間でもあります。まず吹奏楽部が小編成の部で大阪吹奏楽コンクールに出場。地区の代表に選ばれて、8月16日に晴れの大阪中央大会に出場しました。大阪の代表となるまでには至りませんでしたが、相愛らしい丁寧な演奏で優秀賞を受けました。
 8月9日には高校新体操部が沖縄でのインターハイに出場しました。沖縄の暑さに加えて台風が接近する状況の中で全国の優秀チームと競うプレッシャーにも気後れせず、伸びやかな演技を披露してくれました。47府県中11位という成績も今後につながる健闘と言えます。
 放送部は高中共に全国大会に出場しました。日ごろの練習が生かされた結果です
 これ以外にも多くのクラブが練習、公式戦、遠征、合宿等を行いました。
 部活動では2学期になって、体操のもう一つの柱である器械体操部で高校1年生の吉谷優子さんが他校の3名の高校生と共に相愛生として国体に出場して、見事に優勝を飾りました。本校の歴史の中でも国体での優勝は数多くあるものではなく。見事なことだと言えます。まだ1年生であり、この得難い経験は必ず次年度につながるものだと期待されます。
 本校は浄土真宗の宗門校として、龍谷総合学園という日本最大の組織の一員です。この組織の主催で高校生の発表イベントが行われて3年目です。今年は本高校1年生の3名がこのイベントに参加して環境部門で「道頓堀で泳ぎたいねん」と題する発表を行い、優秀賞を受けました。事前に調べた内容を2泊3日で龍谷大学の教員や大学院生の指導を受けるこの大会は、課題を見つけ、調査して、発表のための資料をパソコンで作成するというまさに現代の大学やビジネスで求められていることを体験するものです。次年度も参加を目指します。
 海外での異文化体験も行われました。高校英語コミュニケーションコース2年生は待ちに待った海外研修を英国ケンブリッジで行いました。カレッジでの英語学習の後で様々な見学や活動を行い、夜はホームステイ先で英国家庭の温かさに触れました。1か月以上の日々を海外で過ごすことはこの年代にあって得るものが多く、英語の教員である私も若い時にこのような体験の場があればとうらやましく思いました。
 ロータリークラブの提唱によるインターアクトクラブは韓国に研修に出かけて、現地の若者と交流を行いました。また希望者対象の語学研修はオーストラリアに出かけて、語学学校に通うと共にホームステイと大自然との触れ合いを通して、オーストラリアを満喫しました
 また相愛大学オーケストラは8月末から6日間、中国公演に出かけました。3ヶ所で公演を行い、現地の方々から喝さいを受けました。本校生も多数参加し、年上の演奏家と共に音楽が国境を越えて心と心をつなぐことを肌で感じてくれたはずです。
 2学期は8月23日からの高校特進コース2、3年生の授業で再開されました。28日には高校2年生の始業式を行って、29日から北海道での修学旅行に飛び立ちました。例年以上の暑さの残る北の大地で、開拓時代の古い町並みを見学し、ゴムボートでの川下りを体験し、噴火の爪あとに驚き、旭川動物園では定評の動物との間近な触れ合いを楽しみました。
 9月1日に始業式を行って、翌日から宿題テスト、スタディー・サポートを実施した頃から、私学は学校説明会、個人相談会などの新年度に向けての募集活動が盛んになります。
本年度は学校広報の人員を増やすとともに、新しい試みを多数行いました。
 学校案内の冊子以外に学校の各種活動を報告する文書を多数作成しました。また中学校や塾を訪問する回数を増やして、本校の理解を広めました。今年は特に部活動の広報を広げて、活躍するクラブの情報提供を行いました。特に中学校入試ではプレテストを2回導入しました。単に採点して合格可能性を伝えるだけではなく、各テスト後に成績の懇談会を設けた上に、都合6回にわたる土曜日講習を行って、プレテストの解説を行い、相愛の入試問題の傾向を伝えました。毎回多数の参加者があった上に、保護者もその講習会に参加されてメモを取られるなど熱意が感じられました。担当する教員や事務スタッフには例年以上に手間を取らせることとなりましたが、このように受験前に入試問題に関しての情報を提供し、小学生に学習の場を提供している学校は他にないだろうと自負しています。少子化の時代に経済不況が加わり、私学はどことも募集活動に苦労していますが、学校の総力を挙げてまた私の私学での経験を生かして、皆様のご息女の後輩となられる優れた方を相愛に招きたく存じます。
 文化祭は9月の19日に行われ、華やかで楽しいイベントとなりました。保護者の皆様は育友会主催のバザーに多数のご出品を頂戴して、貴重な売上金を寄贈して頂きました。感謝申し上げます。文化祭は例年以上の来校者があり、年代を問わぬ卒業生がお互いにまた教員に対して近況報告をされる姿が目に留まりました。
 育友会ではまた、1学期に引き続いて相愛大学の講師によるクッキングスクールを11月に開いて頂きました。今回はロイヤルホテルのパティシエによるケーキ作りを体験して頂き、大学での実習の幅広さを実感するとともに、保護者の歓談のまたとない場所となりました。
 また子育てに関する保護者の研修の場を設定しました。相愛大学の著名な教育学者であり実践家である岩堂先生に公演を頂き、大阪市立大学時代の研究の成果や大阪市の子育て相談室の初代の所長としての体験談を優しく語って頂きました。子育てに悩みの多い時代にあって、引き続き教員と保護者が共に学ぶ場面を設定して参ります。
 学校の備品の中でも教室内の備品は使用頻度も高く、経年変化が速いものが多いのですが、この度育友会のご理解により、室内のロッカーを入れ替えて頂きました。鍵式であり、持ち物の自己管理の度合いが高まりました。重ねて感謝申し上げます。
 大学の情報や現状を生徒さんに提供しています。9月には本校卒業生を招いて大学受験の体験を語って頂きました。また中学3年生を対象として、相愛大学の人間発達学部の中西学部長に、親となることや親が子供に伝えることについてお話し頂きました。大学への知識を広げるだけでなく、将来の母親としての意識を持ってもらえたのではないかと考えます。
 今年度より本校にはスクールカウンセラーが週に一度勤務しております。子どもさんご自身や時には保護者が来室されて、様々な問題を相談して頂いています。職務上守秘義務を持っておりますので、お気軽にご相談下さい。
 相愛大学には伝統の音楽学部があり、多数の著名な演奏家を育てて参りましたが、演奏家を育成する学科に加えて、新しい学科が誕生します。音楽マネジメント学科です。ITと経営学を使って音楽を世に広める方法を学びます。性質上、南港の地にあるよりは本町の方がふさわしいという理事会の判断で、本校の一部を提供して運営致します。来年度から新校舎の建築に入ります。この学科を広報するために、イベントが行われました。コンサートはどのようにして企画運営されるかという内容を、よしもとのお芝居と共に大学の教員も演奏、独唱で参加する形式であり、本校講堂で立ち見が出るほどの盛況でした。大学ではこれに加えて、人文学部で仏教文化学科と文化交流学科が誕生します。
 高中も音楽の話を置いては語れません。音楽科の生徒は朝早くから夜遅くまでレッスン室で練習をしています。その発表の場として今年も数多くの生徒がコンクール等に参加して様々な表彰を受けています。審査員の前で日ごろの成果を発表することは緊張感を伴い、並大抵のことではないと感じますが、それに果敢にチャレンジしています。全ての結果をここで披露することができないほどの数ですが、バイオリンの全日本学生音楽コンクールに本校生2名が大阪の代表として参加し、松岡井奈さんが第1位、杉谷悠さんが優秀賞並びに横浜市民賞を受けました。共に素晴らしい演奏であり、今後の活躍が期待されます。1月8日には他の部門も含めた大阪大会の入賞者の発表会がフェニックスホールで行われます。
 校内でも様々なコンサートが行われましたが、来年早々の演奏会等は次の通りです。
  1月31日、高校3年生による室内楽演奏会。
  2月5日、乙女コンサート 高校1年生の部。
  3月19日、音楽科卒業演奏会。いずれも本校講堂で行われます。
これ以外にもご報告申し上げたい活動が多数ありました。英語暗唱大会、コーラスコンクール、着物で歩く御堂筋、「夢のたね」イベントへの参加、大学や専門学校の担当者による講演会、卒業生の教育実習、宗門校としての各種法要、税の作文の表彰などです。
 時代は容易に若者に「未来への夢」を持たせてくれないようです。高度経済成長を子ども時代に知っている団塊の世代、バブル経済の浮き沈みを若者として実感した中高生の親の世代。共に「あの頃はよかった」という実感と共に今の時代を見つめることができます。しかし、社会の高揚感や明日に架ける大人の希望を知らない今の若者は、モノは身の回りにあふれながら、なぜ大人が現在を否定的に言うのかが理解できないのではないでしょうか。「いつかいい時代が来るから、今頑張ろう」ではなく、「この厳しい時代を乗り切るために、若いうちに頑張ろう」と言われるこの子たちは、いったい何を人生の指針とするべきでしょうか。
 「笑顔」が求められる時代だと言います。その通り、買い物ひとつしても笑顔が返ってくると心が安らぐものです。笑顔でこの時代を乗り切ろう。そんな話も聞きます。
 先日老舗の喫茶店でグループでお茶を飲み終えて帰ろうとしていますと、笑顔とマナーの素晴らしいウェイトレスさんが、私の横から「お待たせしました」と言ってコーヒーを3つテーブルに置きかけました。私たちの驚いた反応にテーブルを見て手を止めました。飲み干したカップがその時点で目に入ったのでしょう。実は一つ手前のテーブル客の注文でした。その子はその後も届ける先が分らず、伝票に記入されているテーブル番号を見てうろうろしていました。「こっちやで」との声にやっと行く先を見つけて、笑顔で「お待たせしました」。
 若いこのウェイトレスは、伝票に書かれたテーブル番号通りに飲み物を届けることが仕事だと考えているようです。しかし優れた接客係は、どの客がどのグループより先に来て、どれくらいの時間を過ごしているかを常に追いかけているはずです。来たばかりの客がすぐに立ち上がれば、トイレに行くか新聞を取りに行くはずだと。笑顔も大事、マナーも大事。しかし、お客様を相手とする大部分の仕事では、そして今やお役所でも「お客様」を相手にする意識が芽生えているようですが、その瞬間ごとの全体の中で、それぞれのテーブルや客が何を次に求めるはずかを判断し、予測することが求められます。
 笑顔とマナーのよい(と教員は思っているのですが)相愛の生徒さんが、更に学力か、知識か、判断力か、推測力か、何かを兼ね合わせて持って頂きたい。「厳しい」時代に対応できる女性は、「何か」を持っているはずです。
 寒さの時期を迎えます。ご家族揃って清々しい新年を迎えられることを念じます。

2010.12.27
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