3月22日、平成25年度3学期終業式を講堂にて行いました。
安井校長による式辞を以下に紹介します。
終業式式辞
本日をもって平成25年度の学業を修業し、4月からは1年上の学年に進級をいたします。その修業にあたりひとこと式辞を述べたいと思います。
私は今年度一年間、中学一年生や高校一年生と同じ校長一年生でした。前任校でも校長をしばらく勤めておりましたので、学校の建学の精神および行事等については理解しているつもりでおりましたが、ここ相愛中学校・高等学校においては「日々の糧」読誦、教室と講堂礼拝に象徴されるように、大変丁寧に生徒のみなさんの進行でお勤めされます。また多くの生徒が高校卒業にあたり帰敬式(おかみそり)を受式されます。これは全国にある浄土真宗本願寺派の宗門校でも模範だと思います。
講堂礼拝が、曜日毎に学年で固定されていることを利用し、私は毎朝ちがった学年に同じ話、金子みすゞさんの詩を紹介してきました。理由は2つあります。
①みすゞさんは「仏さまのまなざしをもった詩人」と評されるようにやさしい言葉で仏教とりわけ浄土真宗の門徒としての生き方・考え方を説いてくださること。
②みすゞさんの詩集はたくさん出版されていますから、みなさんも目にされることは多いでしょうが、朗読を耳で聴くことにより、新しい味わい方の発見につながること。
この2つの理由から、下手な朗読でしたがお聞かせして、私の感想を少々つけ加える形をとらせてもらいました。
今日は一年のしめくくりにあたり、みすゞさんの詩を思い出しながら学んだことをおさらいしようと思います。
・いのちの尊厳性
・やさしいまなざし
・「あたりまえ」ではない私の存在
・見えないものの大切さ
・小さいいのちへの思い遣り
・悲しさや寂しさをそのままうけとめようとする態度
・個性の輝き
1. いのちの尊厳性は「大漁」という詩を思い出します。
『・・・浜は祭りのようだけど、海の中では何万のいわしのとむらいするだろう・・・』
他の生きもののいのちを奪ってしか生きられない人間、いいかえれば、私を生かそうとするはたらきにあふれていることを私はわすれがちでした!「いただきます」という食前のことばが大変重い意味を持つと思います。
2. やさしいまなざしは「こだま」に描かれました。
『・・・「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう。こだまでしょうか、いいえ、誰でも・・・』
3年前の、3月11日東日本大震災のあとくり返しTVに流れましたね。人が支えあって生きることの大切さを私たちは心に刻みましたね。
3. 「あたりまえ」でない私の存在は「お魚」に込められていました。
『・・・けれど海のお魚はなんにも世話にならないし、いたずら一つしないのに、こうして私に食べられる。ほんとに魚はかわいそう・・・』
私が魚を食べ、その魚の気持ちを「かわいそう」と表現できるのは、「あたりまえ」とは思わず感謝して生きているみすゞさんだから出ることばでしょう。
4. 見えないものの大切さは「星とたんぽぽ」に描かれました。
『・・・春のくるまでかくれてる、つよいその根は目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ・・・』
見えないからないとばかり思っていた私に対し、見えるものを用いて教えてくれたみすゞさんでした。
5. 小さいいのちへの思い遣りは「露」という詩に描かれました。
『・・・蜂のお耳にはいったら、悪いことでもしたように、蜜をかえしに行くでしょう・・・』
小さな蜂の行動を感情を込めて観察し思い遣りを表現されました。
6. 悲しみや寂しさをそのまま受けとめようとする態度は「日の光」に描かれました。
『・・・残った一人はさみしそう。私は「影」をつくるため、やっぱりいっしょにまいります・・・』
光に照らされた反射側には必ず影があります。この影は悲しみや寂しさでした。そのままみすゞさんは受けとめ、歩む姿勢を印象的に描かれました。
7. 個性の輝きは「私と小鳥と鈴と」に描かれています。
『・・・鈴と小鳥とそれから私、みんなちがって、みんないい・・・』
ちがいを尊重して、それぞれの個性を輝かせることは、仏説阿弥陀経に説かれているのです。
こんなに平易に私たちに美しい詩でもって示してくださったみすゞさんにお礼を述べたい気持ちでいっぱいになり、みなさんとおさらいさせていただきました。
これをもって終業式の式辞とします。
相愛中学校・高等学校
校長 安井 大悟
校長式辞のあと、3学期に英検で優秀な成績を収めた生徒に表彰をしました。
生活指導係の竹内先生より、インターネットに関わる注意、春休みの生活に関する注意。
式の最後に、今年度で本校を退職される先生から、在校生のみなさんに挨拶がありました。
挨拶のあと、生徒代表から花束を贈呈しました。
長い間、学園にご尽力いただき、ありがとうございました。
明日よりは、春休みです。
充実した春休みを過ごして、元気に4月9日(水)の始業式に出校してください。
4月10日(木)の宿題テストに向けた勉強も計画的に行いましょう。
広報部 上辻