「沙羅の木だより」その31

令和元年10月15日


 大型で非常に強い台風19号による豪雨で、各地に甚大な被害が出ています。NHKのまとめによると、15日午前11時現在、今回の災害で亡くなられた人は全国で60人にのぼり、依然14人が行方不明となっていて、32都府県で211人がけがをされているとのことです。また、堤防の決壊は37河川の52か所にのぼり、全国で少なくとも1万棟以上の住宅が水につかり、およそ900棟の住宅が全半壊や一部損壊の被害を受けましたが、被害の全容はまだ分かっていないとのことです。

 このたびの台風により、犠牲になられた方々に謹んでお悔やみ申しあげますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申しあげます。

 史上最強クラスの台風であり、北上するスピードも遅かったことから、当初から大きな影響が予想され、テレビや新聞等、マスコミを通じて繰り返し「直ちに命を守る行動を」と注意喚起がなされていました。にもかかわらず、このような大被害が出てしまったのは、自然界は人類の英知をはるかに超えるパワーを持っているということです。経験値に基づく想定量をはるかに上回る雨が降ってしまったことから、整備が進んでいるはずの、国管理の大規模河川の堤防においても、対応能力を超え決壊に至ったようです。

 さて、台風19号が関東地方を縦断し、13日(日)正午に日本の東の海上で温帯低気圧となったその夜、ラグビーワールドカップ8強進出を賭けた運命の決戦、日本VSスコットランドが行われました。台風で一時は実施が危ぶまれましたが、会場の横浜国際総合競技場(日産スタジアム)では、管理スタッフや警備員、ビールの売り子ら総勢約2000人が会場復旧に向け、朝から土砂の清掃や大型スポンジを使って、通路の雨水を吸うなどの作業をスムーズに行ったそうです。その甲斐あって、6万7666人の大観客のなか、試合は予定通り午後7時45分キックオフとなりました。

 結果は皆さんもよくご存じのとおり、日本がスコットランドを28-21で破り、1次リーグA組4戦全勝、総勝ち点19として同組1位で準々決勝進出を決めました。1987年に第1回が始まったW杯で、9大会連続出場中の日本の8強入りは史上初の快挙となりました。私もテレビにかじりついて声援を送り、勝利の瞬間は目頭が熱くなりましたが、普段はスポーツにあまり興味を示さない妻も、にわかラグビーファン化して日本代表を応援していました。

 私が最もすばらしいと感じたことは、試合後のインタビューでリーチ・マイケル主将が「避難している人たちに勇気を与えられたと思う」と語るなど、日本代表の選手から被災者への言葉が相次いだことです。あの熱戦を観た者すべてが感動を覚え、「俺たちも、私たちもがんばるぞ」という気概に満ちあふれたことと思います。次戦は、20日(日)南アフリカ戦です。いけいけ日本!

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