「沙羅の木だより」その38
令和元年11月26日
現在、梅田から難波にかけて「御堂筋イルミネーション2019」が開催されています。相愛学園がある本町界隈のイチョウ並木も、夕暮れとともにパープル一色に染まって、人々をやさしく包み込んでいます。お隣の北御堂さんでは、SNS映え間違いなしの「MIDOSUJI 2019」フォトモニュメントが置かれ、多くの人々でにぎわっています。日中の様相とはまったく異なる、まさにファンタジーの世界です。この催しは12月31日まで、毎晩17:00~23:00に開催されていますので、ぜひ一度、美しい空間をご体感ください。
さて、近頃「冒険心」や「チャレンジ精神」という言葉をめっきり聞かなくなりました。昔と違って物的に恵まれた、安定した時代となり、敢えて冒険やチャレンジをする必要がなくなったのは事実ですが、若者が何か小さくまとまりすぎているような気がしてなりません。
私が高校生の頃、夏休みになるとよくキャンプに出かけたものです。特に、高2の夏に男子10人で島根県の隠岐の島まで旅したことは、今でも鮮明に覚えています。当時、国鉄の最低運賃が確か30円で、特急や急行を使わなければ格安の旅ができた時代でした。朝、京都駅に集合し、山陰本線の鈍行(普通列車)に乗って一路米子駅へ。ディーゼル機関車がけん引する客車内は、扉が手動でWCの便器から線路が丸見えで、停車中はWCの使用が絶対NGでした(理由は想像にお任せします)。米子駅から境線に乗り換えて境港駅で下車し、フェリーに3時間弱揺られて隠岐の島の西郷港に到着。そこからバスで島の北東部の布施まで行き、目的地のキャンプ場に到着したころには、すっかり陽が落ちていました。翌朝、勇んで海岸に下りると、海の色がとても青く透きとおっていました。長い人生で、いろんな海を体験してきましたが、泳いでいて小魚にチューされたのは隠岐の海だけです。キャンプ場ではテントで寝泊まりし、そうめんを湯がいたりカレーを作ったり、海に潜って魚や貝を取ってきて焼いたり、自由で気ままな4日間を過ごしました。最後の海水浴でS君が財布をなくし、みんなで500円ずつカンパしたこと、最後の一泊は贅沢しようと民宿に泊まったことなども、良き思い出として記憶に残っています。
高校生10人が離島でキャンプ生活を送る。こんな冒険旅行を親がよく許可したなと思われるかもしれませんが、当時はそれが普通に認められる時代でした。スマホもインターネットもない時代、地図や時刻表とにらめっこしながら、自分たちで計画し、自分たちで実行に移す。途中、いろんなハプニングに出会いながらも、生きる力がグンとはぐくまれたものです。
世の中学生、高校生の皆さん、結果を恐れず、失敗を怖がらず、いろんなことにチャレンジしましょう。若いときしか経験できないことはたくさんあります。もちろん、して良いことと良くないことの分別はつけてくださいね。